
突然ですが、 マウス操作で次のように、ある文字データの中から特定の範囲を切り取る事をできますか?

抜き出し結果はこのような感じです。

同じように、ある文字データの途中に、特定の文字をまとめて複数行分入れ込むことはできますか?

入れ込んだ結果はこのような感じです。

文字データ量(行数)が少ない場合、1行1行コピーして貼り付けるということを行えば可能ですが、行数が多くなるとこの作業を1回1回行うのはかなり手間です。また、まとめて行うためにエクセルに文字データを一度コピペして、関数を使って文字を入れたり・・という事を行えば行う事もできますが、これだけのために関数を使うのはちょっと手間ですし、何より数式を作るのも時間がかかります。
もっと簡単にできる方法が無いかというと、実はあります。私の場合、これらの処理は5秒以内で行えます。しかも、使うのはマウス操作とテキストエディタのみです。
テキストエディタの矩形選択(くけいせんたく)
テキストエディタの矩形選択(くけいせんたく)という機能を用いる事で簡単に文字列の操作をすることができるのですが、「矩形選択」という言葉自体を知らないという方が結構います。
私自身、矩形選択の存在を社会人になるまで知りませんでした。そのため、先ほど例にあげたことを新人の際に依頼されて、行おうと1行1行コピペをしていたのですが、その作業を見ていた先輩から



もっと簡単にできる方法あるんだからさ。
矩形選択を使いなよ。




といった経緯で知ることになったのですが、この矩形選択、仕事をする上での使いどころは結構あってとても使えます。
そこで今回は、テキストエディタの矩形選択の使い方と、実際の仕事上での使いどころの応用例をご紹介していきます。矩形選択を使いこなす事は、社会人として、特に書類を作ったり集計をしたりするような方にとっては必須といっても良いスキルかなと思いますので、覚えて損はないですよ!
この記事の目次
矩形選択とは何?
矩形選択(くけいせんたく)とは何か?の前に、聞きなれない「矩形」とは何か、意味を調べてみました。
すべての角が直角の、四辺形。長方形。
「矩形」自体はこのような意味なので、矩形選択とは四角形(長方形)での選択、という意味で取ってもらってOKだと思います。
四角形での選択ってどういうこと?と思いますが、このようなことです。

上記のように、矩形選択の機能を使う事で、テキスト内の特定の範囲を選択することができます。
普通にマウス操作で上記例の開始位置から終了位置を範囲選択をした場合、

のように開始位置~終了位置まで全てが選択状態となりますので、矩形選択が普通の選択とはちょっと違うという点がお分かりになるかと思います。
矩形選択では何ができる?使いどころは?
テキスト内の指定部分を範囲選択できる、というのが矩形選択の一番のポイントですが、単に自分が選択したい範囲を選択できるという事だけではありません。
矩形選択を使う事で、次のような操作を行う事ができます。
- 指定範囲の文字列をまとめてコピーできる
- 指定範囲の文字列をまとめて切り取れる
- 指定範囲の文字列をまとめて消せる
- 指定範囲の先頭にまとめて文字を追加できる
- 指定範囲内で置換ができる
矩形選択の機能を使いこなすと、とても強力に文章編集がはかどります。特に上記の1と4を組み合わせる事で、柔軟に複雑な操作を簡単に行う事ができるようになります。
詳しくはこの後に説明していきます。
サクラエディタのダウンロード
矩形選択の方法の前に、まずテキストエディタを準備します。
普段仕事でどのようなテキストエディタを使用しているでしょうか?拡張子が.txtというファイルを開く際にどんなアプリケーションで開いていますか?
テキストエディタって何?という方は、Windowsの場合はおそらく「メモ帳」をテキストエディタとして使用しています。
テキストエディタは文章を作ったり見たりということで使いますが、ここでは無料で使えてしかも高機能はサクラエディタというテキストエディタを使っていきます。

メモ帳を普段使っているような場合、とりあえずサクラエディタをインストールして使いましょう。今回紹介する矩形選択以外にも高機能な機能が色々と備わっています。
サクラエディタのダウンロード方法
サクラエディタは以下サイトからダウンロード可能です。
https://sakura-editor.github.io/
Windows 10にも対応しています。インストーラー版を使用するとインストールを簡単に行えます。
https://sakura-editor.github.io/download.html
サクラエディタの初期設定
ダウンロードが完了してインストールが終わったら、初期設定を行います。とりあえず、タブ表示は行いましょう。テキストを複数開いた際にタブで表示されるため、これだけでも仕事がはかどります。
タブ表示の方法ですが、メニューの設定から「タブバーを表示」をクリックします。

すると、開いていたテキストファイルが全てタブ表示となります。

ファイルがタブにまとまるため、複数のテキストファイルを開いている時は特に効果を発揮します。
サクラエディタの他の機能については、機会があれば別途ご紹介したいと思います。
サクラエディタで矩形選択を利用する方法
どのエディタでも矩形選択の機能はおそらくついていますが、サクラエディタの場合だと次のような操作を行います。(メモ帳は矩形選択の機能は無いようです)
altキーを押しながらマウスで範囲選択する
実際に行ってみましょう。
まず、altキーを押します。
次に、矩形選択したい範囲の開始位置にマウスカーソルを合わせます。この際、altキーは押したままです。

最後に、altキーを押しながらマウスカーソルを移動して範囲選択をします。

普通にマウス操作で行う範囲選択を、altキーを押しながら行えばよいだけです。とても簡単ですね。
※使用するエディタによっては、altキーではなくctrlキーの場合もあります。
後は、コピーして別の場所に貼り付けをしたりして、自分の好きなように使ってみましょう。
矩形選択でかなり使える応用的な操作例
矩形選択は文書内の好きな範囲を選択できる機能ですが、選択すること以外にも色々と使えます。例としていくつかご紹介します。
特定の範囲をまとめて抜き出す
矩形選択の一番の利用目的は、選択した範囲の文字列を抜き出すことです。

先ほどのように矩形選択をした状態で、範囲内を右クリック→コピーを選択するか、ctrl+cキーでコピーをして、別の行に貼り付けをしてみると、選択した範囲の文字列のみコピーができます。

上記イメージでは矩形選択の範囲が「文字を挿入したよ」の部分のみで面白みがありませんが、メールアドレス部分のみを矩形選択してコピペした場合、メールアドレスの一覧がこの操作のみで作れてしまうので、とても便利なのがわかるかと思います。

特定の範囲をまとめて消す
矩形選択を応用すると、特定の範囲の文字をまとめて消す事ができます。
例えば次のように矩形選択をします。

この状態でdeleteキーを押すと、次のように選択した範囲の文字が消えます

このように、一括で消したい場合にも矩形選択はとても有効です。上記の例だと、矩形選択した範囲の文字は1~9の部分が行毎に違うため、置換処理では一括で文字を空文字に置換するという事ができませんが、矩形選択で行えばあっという間に行う事ができます。
特定の範囲の先頭にまとめて文字を追加する
矩形選択を応用する事で、特定の範囲の先頭にまとめて文字を追加する、という事も可能です。これだけではイメージがつかないと思いますので、具体例を挙げてみます。
まず、先頭に文字を入れたい部分について、矩形選択をします。

ここでは、3行目~6行目で上記のように矩形選択をしています。「文字を挿入」の部分を矩形選択していますが、ここでは矩形選択の横の範囲は「文字」や「文」まででも何でもOKです。
次に、この状態で「ここに」と入力し、Enterキーを押します。すると、矩形選択した行の先頭部分に「ここに」が追加されます。

このように、矩形選択をした状態でテキスト入力をすると、範囲選択した行の先頭位置に入力したテキストが追加されます。1行1行同じ文字をコピペする必要がありません。また、一括置換できないようなケースではこの簡単な操作でまとめて文字が追加できるので、とても助かるのではないでしょうか。
特定の範囲を選択した結果を別の部分に挿入する
矩形選択の一番の応用としては、矩形選択した範囲を別の部分に挿入する、という操作です。
この操作の例として2つほどご紹介します。
文字列の順序を入れ替える
下記のように「名前」「性別」「メールアドレス」の順に並んでいるテキストを、 「名前」 「メールアドレス」 「性別」の順に入れ替える操作を矩形選択を利用した場合でご紹介します。

まず、メールアドレス部分を矩形選択します。

次に、この部分をctrl+xで切り取ります。すると次のようになります。

この状態で、挿入の開始位置にマウスカーソルを合わせます。(この場合、1行目の名前の後ろ位置にマウスカーソルを合わせる)

この状態で、ctrl+vで貼り付けを行います。

すると、矩形選択で切り取った部分が挿入されます。結果的に「名前」 「メールアドレス」 「性別」の順に並びを入れ替えることができました。
上記の例では、矩形選択で切り取ったデータの貼り付けの開始位置を1行目にしていましたが、例えば5行目にした場合はどうなるかというと、ずれて貼り付けが行われます。

↓ ↓ ↓

そのため、矩形選択データの貼り付け開始位置は注意する必要があります。
空白をまとめて設定する
上記の補足部分で紹介した「ずれて貼り付けされる」というのを応用する事で、複数行に空白をまとめてせっていすることも可能です。
例として、次のような文字について、各行の前後を"(ダブルクォーテーション)で囲みたいとします。

まずはじめに、上記は文字が5行分なので、5行分の" (ダブルクォーテーション) をつくって矩形選択し、コピーします。

コピー後は1行目の先頭位置にカーソルを合わせて、

ctrl+vで貼り付けをします。すると先頭に " (ダブルクォーテーション) が付きます。

次に、1行目の*の後ろに半角スペースを入れて、貼り付け位置を調整します。ここでは次の位置までスペースを入れて、カーソルを合わせます。

ctrl+vで貼り付けをすると、各行の最後に " (ダブルクォーテーション) が付きます。 2行目~5行目の " (ダブルクォーテーション) の前にはスペースを入れていませんが、貼り付け時に自動的にスペースが付与されているのが分かるかと思います。


各行の最後を"で囲みたい場合、各行でテキストの長さが異なるため1つ1つ" (ダブルクォーテーション) を入れていくのは手間ですが、このやり方だと一括で設定でき、自動的にスペースも入るためとても簡単に行えます。
まとめ
今回は矩形選択について、機能と応用例をご紹介しました。この機能を知っているだけで大分操作の幅が広がると思いますので、ご自身の仕事で使ってみてはいかがでしょうか。